Inkscapeは2003年に公開された新しいソフトにもかかわらず、すでに非常に多くのユーザに愛用され、
無料のグラフィックデザインソフトでは、おそらく右に出るものはいない程、大変優れたソフトです。
線を曲線を引く、着色する、図形を入れる、文字を入れるなどの基本操作に加えて、
グラデーションや透過画像の作成、画像を切り抜きなどの本来複雑な操作も容易に行うことができます。
簡単で利便性の高いデザインツールが豊富に用意されていることもInkscapeの魅力です。
たくさんの魅力が詰まったソフトですが、最大の魅力を挙げるとすると以下の3点でしょう。
1.初心者でも使いやすい設計
2.作成、編集、保存まで全て無料
3.拡大縮小でも劣化しない画像を作成できる
では、順に詳しく解説していきます。
1.初心者でも使いやすい設計
Inkscapeでは画面の大部分のキャンパス(編集を行う場所)、描画や編集を行うツールの一覧、図形の変形や整形を行う編集一覧の非常にシンプルで分かりやすい構成になっています。
このシンプルで分かりやすいデザインが、操作性を高めるとともに、
初心者の方でも始めやすいとソフトと称される所以です。
2.作成、編集、保存まで全て無料
Inkscapeは画像の作成、編集を行い、保存するまでのすべての工程において無料です。
グラフィックデザインソフトとして最も有名な、Adobeシステムズ社から販売されている「Illustrator」と比較してみましょう。
当ソフトを個人で購入するとなると、年間プランに加入した場合、月々¥2,280円、年間一括購入の場合でも¥26,160円となかなか高額な商品です。
(学生の方、教職員者は割引が適用されています。)
私自身、Illustratorの購入経験者ですが、Inkscapeで実現できることとさほど差がないように感じましたし、
必要な機能に特化している分、Inkscapeの方が使いやすいと感じました。
Illustratorに関しては使用に際しての私の単純な感想で、製品に関して批判する気は全くありませんが、
まずは購入の前にInkscapeをご使用いただくことを強くお勧めします。
多彩な機能や操作性に加えて、無料ソフトであることに驚いていただけるのではないかと思います。
3.拡大縮小でも劣化しない画像を作成できる
画像でよく使われるファイル形式に「png」「jpg」といった拡張子(ファイル名の.(ドット)の後ろにある文字のこと)があります。
これらはビットマップと呼ばれ、多くの画素(ピクセル)の集合体によって構成されています。
そのため、ビットマップデータはサイズを拡大した場合、輪郭がぼやけたり、ギザギザな線になってしまいます。
一方、Inkscapeで作成することができる「svg」拡張子は、
画面上に点の座標が情報として記録されており、それらの点と点の間にブラウザが計算して線を引くことで、画像を表示します。
拡大したとしてもプラウザは線として認識しているため、画像が劣化することはありません。
以前まではブラウザが「svg」拡張子を認識できないものが多かったため避けられていましたが、
近年ではほとんどのブラウザで認識ができます。
ロゴやテキストなどのフラットデザインの画像をWEBサイトにアップする場合は
ぜひ積極的に活用していただきたい機能です。